病気と医療について考える~栗野的通信
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ガンで旅だった妻への挽歌と、病気と医療についての考察。
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妻と旅する
 妻が旅立って4年目になります。
その間ずっと考えながら、未だ実行してなかったことがあります。
それは旅に一緒に連れて行くことです。

 思えばほとんど一緒に旅をしたことがありませんでした。
妻は帰宅途中によくバスの中からツアーの紹介チラシを持ち帰っていたのに、私は気付かぬ振りをしていました。
30年近くも一緒にいると、夫婦2人だけで旅行をしても感動よりは気まずさが、会話よりは沈黙の方が多いものです。
恐らくどこの夫婦も似たようなものではないでしょうか。

 しかも、私は前もって計画を立ててというやり方が苦手ときています。
前もって計画を立てていても、その時になって急に仕事が入ったり、気が進まなくなったりして、何度もキャンセルしたこともあります。
だから、たまにどこかに行こうかと言っても、「あなたの言うことは信用できない」とほとんど相手にされなくなりました。
それでも妻が本当は旅行に行きたいのが分かっていました。
ただ、期待してガッカリさせられるのが嫌だったのです。

 私の我が儘です。
外国旅行に連れて行けというわけでもありません。
近くの温泉場で1泊、日帰り旅行でもよかったのです。
それくらいなことで喜んでくれたのです。
その程度の時間を作ることぐらい何とでもできたはずです。
でも、それをしてこなかったのです。

 私がどこかへ行く時には一緒に連れて行き同じ景色を見せてやりたい。
これからはそれがせめてものつぐないだ。
妻が旅立ってからずっとそう思ってきました。
帰省する時はいつも助手席に妻のお骨を乗せて帰りました。
車で移動する時はそれでもいいのですが、列車や飛行機での移動となるとそういうわけにもいきません。
第一荷物が嵩張りすぎます。

 そこでもっと小さくて、いつも連れて歩けるものを探していました。
仏具屋さんに行けば分骨用の小さな骨壺を勧められますが、それでもまだ大きすぎます。
私が探しているのはもっと小さな物です。
そんなある日、小さな容器にご主人のお骨を入れ、それをペンダントにしているという新聞記事が目に止まりました。
そうだ、そういう方法がいい。
そんな容器を探してみようと思いました。

 その新聞記事を目にして数日後、私は具体的な行動を起こしました。
それは上海に行く日が近付いていたからです。
新聞記事に載っていたぐらいだから、最近はそういう風にする人がいるということであり、もしかすると仏具屋さんにも何か適当な物が売られているのではないだろうかと思いました。
 ある仏具屋さんでは香水入れのビンなどを利用されてはどうですか、というアドバイスを受けました。
ファッション関係の店ならガラス瓶を売っているはずだから、と。

 何軒かの店を回って最終的に私が見つけたのは直径6cm、高さ2cmのお香入れでした。
その中に何片かのお骨を入れ、化粧袋で包み、上海に一緒に連れて行きました。
いままでどこにも連れて行かなくてゴメンねと謝りながら。
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by kurino30 | 2005-07-12 19:28 | Trackback | Comments(0)
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