病気と医療について考える~栗野的通信
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ガンで旅だった妻への挽歌と、病気と医療についての考察。
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6年目に咲いたデンドロビュームを妻の霊前に見せる。
b0039302_23265751.jpg
ベランダのデンドロビュームが花を咲かせた。
数日前から蕾が出ていたが、昨日頃から一斉に花開きだした。
まるで12日の妻の命日に合わせるかのように。

 私はいままでこの花が咲くとは知らなかった。
当然、植物の名前も知らなかった。
それ程長い間花が咲かなかったのだ。
それでも妻亡き後、それがまるで私の日課であるかのように、私はベランダの花に水をやり続けた。

 そしてことし、きれいな花が咲いた。
香りがとてもいい。
室内に入れると部屋中甘い香りで一杯になる。
花の名前は花屋さんに調べに行ってデンドロビュームだと分かった。

 妻が他界したのは10時40分。
血圧が下がり、眠ったまま静かに息を引き取った。
 最後に言葉を交わしたのは夕方5時頃だった。
私はベッドの横で妻の手を握りながら「30年間ありがとう」と眠っている妻に話しかけた。
すると眠っていると思った妻が「ううん」と首をかすかに横に振り、私の方に両手を差し出したのだ。
起こしてくれといっているのかと思い、抱きかかえようとした私の首に腕を回したまま「あなたが居てくれたから」と妻が囁くような声で言った。
そしてしばらく頬を合わせたままくじっとしていた。
頬に妻のぬくもりを感じながら、私は「ごめんね、ごめんね」と、ただ繰り返していた。

 これが最後の会話になった。
その後目を覚ますことも、意識が戻ることもなく、一人旅立った。
「今日は一緒に寝ようね」と約束していたのに・・・。

 それから丸5年。
その間一度も咲かなかった花が咲いたということは、少しは私を許してくれたのだろうか。

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by kurino30 | 2007-04-13 00:17 | Trackback | Comments(0)