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病気と医療について考える~栗野的通信
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ガンで旅だった妻への挽歌と、病気と医療についての考察。
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前立腺がんの手術で20日間も入院中って?
 前立腺ガンが発見されてから6年間経過観察だけで過ごしてきた。経過観察とは治療を何もせず、3か月に一度血液検査、尿検査をしPSA(前立腺ガン腫瘍マーカー)の数値を確認するだけで、その他に半年に1回CT検査、1年に1回MRI検査をし状況を詳しく診ていく。
 経過観察のみで行くと決めたのは自分からで、医師からは手術か放射線治療を勧められたが拒否してきた。

 私の場合、妻と弟を膵臓ガンで亡くし、私の膵臓にも嚢胞(のうほう)が見つかっている。これがいつ悪性腫瘍になるか分からないという懸念がありMRIでは嚢胞の変化を常に見ているが、今のところそちらの変化はなく来ている。
 前立腺ガン発見から6年間経過観察だけで来た患者は担当医にとって初めての経験だったに違いない。
 ただ6年間、PSAの数値は緩やかに上向いてはきたが、このままでもいいのじゃないかという思いがあり、3か月に一度の定期検診もやめようかと考えていた。3か月に一度注射針を刺され、半年に一度放射能を浴び続けるのとどちらのリスクが高いか分からないと考えたからだ。
 それで今回を最後にしようと受けたMRI検査で「ガンが大きくなっている」と告げられた。

 ガンが大きくなったのなら仕方ない、と手術を決意したが、結論から言えば、少し早まった、と感じている。今まであれほど慎重に来たのに、手術を即断せずもう少しじっくり考えた方がよかったと思ったからだ。
 理由は後日、MRI検査の診断結果をよく読んでみると、医師の言葉は少し誇張気味で、検査報告書にはガンがわずかに拡大しているという表現で記されていた。

 前立腺ガンの手術は「ダヴィンチ」と呼ばれるロボット手術。腹に5、6か所小さな穴を開け、そこから鉗子等を入れ前立腺を摘出する腹腔鏡手術である。
 利点は開腹手術に比べ傷が小さい分治りが速いこと。
ただ、腹腔鏡手術は全身麻酔になり、私の不安点はそこに1つあった。

 手術室に入ると麻酔医らしき人の姿が見えなかったので、麻酔をかけられる前に麻酔医の存在を尋ねると「私です」と若い(その時はそう見えた)女性が返事したので驚き「男性かと思っていました」と返事しながら「私は麻酔が一番怖いんです。麻酔事故が多いから」と懸念を口にすると「大丈夫です、私は20年のベテランですから」と不安を払拭された。
 記憶にあるのはそこまでで、手術が終わり手術台からICU(集中治療室)に移される直前まで何がどのように行われたのか全く意識にない。

前立腺がんの手術で20日間も入院中って?_b0039302_09153892.jpg

 当初計画では順調に推移すれば術後4、5日でお腹に開けられた排液用の管が抜かれ、6日目に造影検査で尿道の縫合が上手くいき周囲に漏れがないことが確認されれば翌日か翌々日に尿の管(尿道カテーテル)も抜かれ、入院10日目に退院となる手筈。

 だが、術後2週間が過ぎたが私はまだ入院したままで、尿道カテーテルは抜かれるどころか差し込まれたままだ。一時期に比べ尿に血液が混じる量は減り、激しい痛みに襲われて痛み止めを飲まなければ身体をくの字に曲げて脂汗を滴り落とす状態からはなんとか解放されたが、まだ尿に濁りがあり健康な尿の色ではない。

 入院期間が大幅(?)に延びている理由の1つは膀胱と尿道の縫合部からの漏れ。前立腺全摘の際、尿道が切れるので前立腺摘出後、膀胱と尿道をくっ付ける吻合を行うが、吻合の際締めすぎると排尿困難になる。
 従兄弟は吻合の締めすぎで退院が1週間遅れたと言っていたが、私の場合は吻合がまだ完全でなく、吻合部からの液漏れがあり、1週間後に再度造影検査を行い液漏れが止まっているかどうかの再確認をすることになった。

 1週間後に2度目の造影検査。尿道カテーテルから造影剤を注射器のようなもので押し込み吻合部から漏れがあるかどうかを確認し、吻合がきっちり行われ漏れがないことが分かれば、その場で尿道カテーテルを抜くか、2日前後で抜かれることになる。

 ここで問題が発生した。膀胱が委縮したままで膨らまず造影剤が規定量入る前に尿意を催したのだ。
 膀胱が委縮したままでは少量の尿でも尿が溢れるような感じになり、退院後、頻尿に悩まされることになる。それは困る。
 2度目の造影検査では膀胱の萎縮が治っているかと考えられたが期待は裏切られた。
 「合併症という程ではないが」と言いながら、医師も原因がはっきり分からず多少困った様子だったが、取り敢えず膀胱壁を柔軟にする薬をしばらく服用するようにと頻尿防止薬ベタニスを処方。

 その2日後、尿道カテーテルが膀胱から抜け落ちないようにとカテーテルの先端に取り付けている「風船」内の液を少し抜く。「風船」が邪魔して膀胱が歪な形になっているのではないかと考えたようだ。

 相変わらず尿内に浮遊物が認められ、これは自分が尿を見ていても確認され、あまりいい傾向ではないと考えていたが、医師も膀胱炎を起こしているかもと考えたようで、翌日から抗生物質の投与。

 術後、回復に向かって一直線という感じではなく一進一退のように遅々としてきたが、担当医もいろいろ考え、丁寧に対応してくれているので、後は憂いなく退院へ進むのを待つばかりだが、さらに入院が長引くのか、退院できるのかの結論が出るまで後数日はかかる。

 それにしても通常10日で退院できる手術で20日も入院というのはどうも・・・。
若い頃に加入し掛け替えをせずそのままにしている生命保険があるが、その保険は20日以上の入院でないと入院手当がでないため、一度も利用したことがない。 今時20日も入院する手術はよほどの大手術しかないからだが、その保険が使えることになろうとは思ってもみなかったが、無事退院できるのかどうか心配になってきた。


by kurino30 | 2024-11-30 09:19